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樹齢120年以上の

びわの木

外海では、むかし畑の縁や、民家の近くにビワ、椿、八朔、お茶の木などが植えられ、今となってはもう野生に帰ったような姿で繁茂する様がよく見られる。

高くそびえるびわの木は、樹齢120年以上。

人が実を取らなくなって久しく、ついに台風で折れてしまったものを頂くことがある。

例年、11月をすぎ、本格的な冬がやってくると、野外活動がにわかに忙しくなってくる。

あの木、この木を切ってほしいという要望があったものを、木材として利用したいからと、このシーズンまでわざわざ待ってもらっている物があるためだ。

そんな木を切りにでかけては、トラックの荷台を満載にして、帰ってくる。

山の麓の古民家に連日、チェーンソーの音が響き渡る。隣家は崖を隔てた向こう、唯一ヤギがうるさそうにこちらを見る。

工房の天井付近で、乾燥を待つ外海の木。

ペンになるのは、この中から更に少なく、厳選したものになる。

 

小径木で崖地に生えている材は、乾燥する段階で癖が出てきて割れが入る。そうなっていない材料を時と共に見極めながら、数年かけて乾燥させていく。

​工房の天井の乾燥棚では、ゆっくりと出番を待つ木材が一時の眠りについている。

ペンにならない材料は、最高の薪材となる。

しっかりと乾燥したビワや椿は、硬い木のため長時間燃え続け、非常に温かい。

 

外海の冬は、吹き付ける海風が激しく、存外に厳しいものとなるのは、移住してから知ったこと。​海沿いの自然環境の厳しさに、打ちのめされることもある。

 

そんな外海だからこそ、ひっそりと長い年月を潜伏キリシタンたちが過ごせていたのかもしれない。

ともかくも、冬は古民家に取り付けた薪ストーブがなければ、隙間から否応なく入ってくる隙間風に往生することとなる。

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